日本だけが標的、見せしめ、世界協会の限界

2015年06月07日 16時45分 ニュース

経済成長とともに、水族館の数が増えるアジア各国では、イルカの需要も高く、太地町の追い込み漁に調達を頼っているケースが多く、特に中国は最大の輸出先として、近年、輸出頭数が飛躍的に伸びています。

関係者によりますと、太地町のイルカは、日本協会の加盟施設に2~3割が販売され、ほかは、協会に加盟していない水族館や専門業者に回されています。

輸出は専門業者が手がけ、太地町漁協が直接関わることはありません。このため、太地町漁協は、正確な数は分からないとしながらも「需要は世界的にある」と先月(5月)27日の記者会見で明らかにしていました。

生きた状態のイルカ販売について、太地町立くじらの博物館の桐畑哲雄(きりはた・てつお)副館長は「漁協は暴利をむさぼることはせず、公平性に配慮している」と強調、「値段が高くなりやすい入札にはせず、固定額を決め、販売先は希望施設のくじ引きによって決まり、資金のある水族館ばかりに偏らないようにしている」と話しています。

野生動物の保護を定めたワシントン条約に基づく貿易に関する国連統計によりますと、太地町で捕獲される鯨類(げいるい)7種のこの5年間の日本からの生きた状態での輸出は、ほぼ全てが水族館向けに許可が出されています。

関西地方のある水族館関係者は「世界協会はあくまで欧米中心の団体。イルカの世界市場はアジア各国などに広がっているが、今回は協会員の日本だけが標的にされた」と批判しています。

一方、東京海洋大学・大学院の加藤秀弘(かとう・ひでひろ)教授は、「水族館は人工繁殖だけでなく、自然界の個体を含めた展示で、人間と自然界の関係を理解させる場」と話し、「より良い展示を目指す世界協会が、除名を盾に、日本協会に追い込み漁のイルカ入手禁止を求めたことは、一種の見せしめ印象があり、禁止を理由に、協会から脱退する水族館が出れば、世界協会が目指す本来の役割も担えなくなるのではないか」と指摘しています。

世界協会は、太地町によるイルカの追い込み漁を「残酷」と決めつけ、一方的に問題視して、日本の水族館に、この漁によるイルカの入手をやめさせるよう日本協会に勧告し、会員資格を停止しました。これに対し、日本協会は会員投票を行い、先月(5月)20日に入手禁止を決めました。