世界初の浮上式堤防計画断念(写真付)

2015年02月18日 19時15分 ニュース, 政治, 社会, 防災

国土交通省・和歌山港湾事務所は、東海・東南海(とうなんかい)・南海の3連動地震による津波対策として、海南市沖の和歌山下津港に建設していた世界初の浮上式防波堤について、南海トラフの巨大地震には耐えられないなどとして建設を断念し、護岸をかさ上げする方法に切り替える考えを示しました。

浮上式堤防断念を表明する北出企画官(中央)ら(2月18日・和歌山港湾事務所にて)

浮上式堤防断念を表明する北出企画官(中央)ら(2月18日・和歌山港湾事務所にて)

当初の計画では、海南市沖の航路の入り口に、海中に設置した鋼管を浮上させて津波を防ぐ浮上式防波堤をおよそ250億円かけて整備する世界初の技術として注目されていました。

しかし、その後内閣府が、南海トラフ巨大地震が発生すれば、海南市は震度7の激しい揺れと最大で8mの津波に見舞われると想定したことを受けて検証した結果、浮上する鋼管が変形するほか、周辺の地盤の強化対策などが新たに必要となることがわかりました。

また、総事業費が250億円から770億円に増え、完成時期も大幅に遅れるとみられるため、海南市の船尾(ふのお)地区から冷水(しみず)地区にかけての地域の護岸をかさ上げする方法に切り替えることになりました。

かさ上げの方法でも、総事業費はおよそ450億円、完成時期は2023年となりますが、浮上式防波堤の建設を続けるより負担の増加や完成の遅れが抑えられるということです。

和歌山港湾事務所の北出徹也(きたで・てつや)港湾空港企画官は「世界初の技術として鳴り物入りで取り組んできたが、地元の期待を裏切った格好となり申し訳ない。しかし浮上式防波堤を否定されたとは考えておらず、他に応用できる場所が有れば、引き続き可能性を検討したい」と述べました。