追加登録を語る世界遺産シンポジウム 東京で開催(写真付)

2016年10月31日 20時40分 ニュース

「紀伊山地の霊場と参詣道」への追加登録を記念した和歌山県主催のシンポジウムがきょう(10/31)、東京で開かれ、研究者が、追加登録の意義や今後の課題を指摘しました。

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「紀伊山地の霊場と参詣道」は、和歌山、三重、奈良の三県にまたがる世界文化遺産で、今月24日にフランスのパリで開かれた世界遺産臨時委員会で、和歌山県内11の市と町にある、参詣道や神社など22ヶ所が、追加登録されることが決まりました。

これを記念してきょう午後1時半から東京・イイノイホールで開かれたシンポジウムでは、元文化庁長官の近藤誠一(こんどう・せいいち)さんが「世界遺産~目的と課題~」と題して基調講演し、「世界遺産が持つ課題は、登録基準の曖昧さ、審査の不透明さ、政治化などが挙げられる」と指摘した上で、「解決のポイントは、文化芸術が持つ力、日本にとっての意義を明らかにすることだ」と強調しました。

基調講演する近藤さん

基調講演する近藤さん

また、日本イコモス国内委員会委員長の西村幸夫(にしむら・ゆきお)さんも基調講演し、紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産に認められた経緯や追加登録された参詣道について説明しました。

このあと、パネルディスカッションが行われ、4人のパネリストがそれぞれの立場で、追加登録の意義と今後の取り組みについて話しました。

この中で、観光政策の提言を行っている小西美術工藝社・社長のデービッド・アトキンソンさんは、「世界遺産の本質を伝えることが大切。来訪者の全員が精神性を求めているとは思えないが、参詣道を歩いているうちに、何かしら感じ、興味が湧く。1つの価値を押し付けるのではなく、本来、昔の人が感じたものを伝えられる」と述べたほか、「歌会などの楽しいイベントは、年に1回ではなく、毎日、供給することが大切だ」と指摘しました。

また、仁坂吉伸(にさか・よしのぶ)知事は、「保全と活用は最も大事な観点だと思っている。保全するためには、価値を知る必要があり、2008年に景観条例を作り、景観を守る取り組みも行ってきた。一方、語り部の養成や、おもてなしトイレの設置など、さまざまな活用を試みている」と述べました。

会場には、およそ400人が訪れ、時折、ユーモアを交えながら、さまざまな視点から語られるパネリストの発言に、拍手をおくるなど熱心に耳を傾けていました。