公益通報で解雇「無効」判決 原告が会見(写真付)

2018年10月30日 21時43分 ニュース, 事件・事故・裁判, 社会

美浜町の介護老人保健施設に勤めていた42歳の理学療法士の男性が、施設の不正を行政に通報する「公益通報」を行ったことなどを理由に解雇されたのは不当だとして、施設を運営する医療法人に解雇の無効や慰謝料などを求めた裁判で、和歌山地方裁判所はきょう(30日)原告の請求を一部認め、解雇を無効とする判決を言い渡しました。

会見する男性(中央)と代理人弁護士

訴状などによりますと、男性は2014年8月、理事長による入所者への暴行や、医師や職員の水増し、職員の過剰な労務などの改善を求めて美浜町に「公益通報」を行ったところ、2015年12月、施設を解雇されました。

男性は、「不正の実態を隠ぺいするための報復的措置で、公益通報者保護法や労働契約法に反する違法な解雇だ」として、2016年3月、解雇の無効や、解雇中の賃金、慰謝料などを求める裁判を和歌山地裁に起こしたのに対し、医療法人側は、原告の主張を全面的に否定した上で争う姿勢を示していました。

きょうの判決で和歌山地裁は、「理事長による暴行を軽視することはできず、男性の行動は正当かつ相当で、解雇を客観的に合理化できる理由がない」として解雇を無効とした一方、「公益通報者保護法の目的は通報者の不利益を防止することにあり、これは解雇を無効とすることで達成される」として慰謝料など一部の損害賠償については棄却しました。

判決を受けて、きょう午後2時から原告側が記者会見し、男性は、「暴行事件の不正や公益通報したことの正当性が認められたことは良かった」と評価した上で、「違法な解雇で精神的苦痛を受けたにも関わらず慰謝料がゼロなのは冷たい。納得できない部分が多いので控訴も検討する」と話しました。また、公益通報制度について「誰に相談すれば良いか悩んでいる人を後押ししてくれる情報が少ないと思う。通報者を保護する仕組みや実効性のある罰則があっても良いと思う」と話していました。

代理人弁護士を務めた芝野友樹(しばの・ともき)弁護士は「原状回復するだけで慰謝料の理由にならないなら何のための保護法なのか疑問だ。不十分な法律としか言えない」と指摘しました。