呼び上げ地蔵を知って! 海南市で夜間訓練(写真付)

2018年11月08日 19時30分 ニュース, 社会, 防災

安政南海地震の際、津波から逃げる住民を「こっちへ来い」と呼び上げ救ったとされる「呼び上げ地蔵」の伝承が残る海南市井田(いだ)の住宅街で、今(11)月5日、夜間の避難訓練が行われ、住民が、たいまつの灯りを頼りに歩きました。

訓練を行ったのは、海南市井田の上神田(かみじんだ)自治会で45世帯100人足らずの住民のうち、およそ20人が参加しました。

「呼び上げ地蔵」は、熊野古道の汐見峠(しおみとうげ)沿いにある1772年に建立された、道しるべ地蔵で、1854年に安政南海地震の津波が海南市を襲った際、自ら光を放ち、「こっちへ来い」と逃げ惑う住民を呼び上げたとされています。

避難訓練は、この伝承を活かして防災意識を高めようと、初めて行われ、安政南海地震が海南市を襲ったとされる午後6時頃から、自治会の役員がたいまつを持って先導し、海抜20メートルにある「呼び上げ地蔵」まで歩きました。

呼び上げ地蔵前で津波の犠牲者を追悼する

この地域では、参加した住民の高齢化が進んでいて、他の住民に支えられながら地蔵まで歩く人の姿もみられました。

参加した住民は、「初めてでしたが、経験できてよかったです。地蔵の話は知っていましたが、これからもこの話が残っていくよう若い自治会長にはがんばってもらいたい」と話していました。

海南市井田にある上神田自治会の大上敬史(おおうえ・たかし)会長59歳は、「伝承では、地蔵が光輝いたというところが強調されていますが、本当は、ここへ逃げてきた人が集まったために火を燃やして光り輝き、さらに、みんなで逃げ遅れた人に呼びかけたのではないかと考えています。そう考えると、伝承は史実ということになるので、稲むらの火だけでなく、この呼び上げ地蔵のことも広く知ってもらえるよう取り組んでいきたい」と話しています。

大上さんは、「来年以降も、訓練を続けていきたい」と話しています。