災害に備えて 県難病の子ども家族会・学習会(写真付)

2019年02月25日 20時38分 ニュース, 社会, 防災

地震などの災害発生時に、医療的なケアが必要な人たちへの対策について考える講演会が、おととい(2/23)、和歌山市で開かれ、難病の子どもを持つ家族や、医療関係者らおよそ60人が話に聞き入っていました。

これは、さまざまな難病の子どもを持つ親らでつくる和歌山県難病の子ども家族会が年に一度開いている学習会で、今年は、障害児医療が専門で、宮城県仙台市のあおぞら診療所ほっこり仙台の院長、田中総一郎(たなか・そういちろう)さんが、東日本大震災で被災した、障害のある子どもたちとの関わりなどについて体験談を語りました。

この中で、田中さんは、難病を患っていた石巻支援学校に通う17歳の男子生徒が津波の犠牲になった事例を紹介し、「本人を抱きかかえて人工呼吸器を運ぶには、母親1人だけでは無理で、3人の大人が必要だった」と指摘しました。

また、田中さんは、「障害のある子どもたちは、そのニーズや普段の生活が知られておらず、東日本大震災では、高齢者や新生児用のおむつが救援物資としてたくさん届いた一方、障害児の使えるサイズが不足していた」と話し、障害のある子どものニーズを拾い集めてきめ細やかな支援をしていく必要性を強調しました。

そして災害時に設置される指定避難所については、障害のある人が避難所に行った割合が阪神大震災と東日本大震災でほとんど変わっていないことを強調した上で、「障害児を持つ親の中には、子どもの声や吸引器の音がうるさくて周りの人に迷惑をかけるのではないかと思い、避難所に行けない人が多くいる。16年を経ても、障害のある人にとって、避難所は避難しにくい場所のままだ」と指摘しました。

また、田中さんは、高齢者や障害者らに配慮した福祉避難所についても、「最初に地域の指定避難場所に行った上で、保健師などから個別に指示を受け、許された人だけが利用できる仕組みになっている」として、指定避難場所の中に障害児者の居場所を作ったり、地域の支援学校など、子どもにとってストレスの少ない、普段通いなれたところを福祉避難所として整備する必要性を訴えました。

非常用の吸引器を説明する田中さん

このあと、田中さんは、災害時に人工呼吸器などの電源を確保するための発電機や、手動で使える吸引器などを紹介し、参加者が実際に器機を使って体験する場を設け、使い方を指導していました。

人工呼吸器をつけ車いすに乗った29歳の息子を連れて講演を聞いた62歳の海南市の女性は、「指定避難所には、段差もあり、感染の恐れもあるため、息子を連れて行けない。自分で発電機などを用意しておこうと思うが、こうしたことをほかの家族にも伝えたい」と話していました。

和歌山県難病の子ども家族会・会長の武内優子(たけうち・ゆうこ)さんは、「難病患者のための防災はどうなっているのか、よくわからないところがあったが、田中先生の話を聞いて、現状がよくわかった。医療関係者も来てくれていたので、今後に生かしてもらえれば」と話していました。

家族会では、毎年2月に学習会を行うとともに9月には、家族同士の交流会も行っています。