和市平井の山林にメガソーラー計画 住民に賛否(写真付)

2019年06月19日 19時52分 ニュース, 社会, 経済, 防災

和歌山市平井などの山林に大規模な太陽光発電設備を建設する計画が持ち上がり、「山林の造成が今後、災害につながりかねない」として、周辺の住民から反対する声が出ていて、大きな運動に発展しつつあります。一方で、土地の所有者らは、「高齢化で今後、山を管理できなくなる」として、計画の推進を訴えています。

計画反対の組織発足(2019年6月13日・和市楠見連絡所で)

「和歌山平井太陽光発電事業計画」は、和歌山市平井と大谷、それに善明寺の山林などおよそ66ヘクタールの事業区域のうち、半分にあたる33ヘクタールを、切り土や盛り土で造成するもので、雨水などをためておく調整池を4つ造ることになっています。そして、12万7千枚余りの太陽光パネルを設置し、最大3万8500キロワットを発電する計画で、2022年から20年間の稼働を予定しています。

開発予定地に通じる道にはバリケードが(和歌山市善明寺)

事業主体は、東京の株式会社SUNホールディングス内に、今年1月に設立された和歌山太陽光合同会社で、去年6月から施行されている、太陽光発電に関する和歌山県と和歌山市の条例に基づき、手続きを進めています。現在、業者による住民への説明会と住民からの意見集約が行われています。

こうした中、山林の開発について、周辺住民から不安の声があがり、計画に反対する住民らが勉強会を開くなどしていて、今月13日には、「楠見地区のメガソーラー(巨大太陽光発電)を考える会」を結成しました。

会の事務局長を務める西川徹(にしかわ・とおる)さん72歳は、「今回の計画は、山を破壊する行為で、谷を埋めるため、最も危険度の高い盛り土が行われる。盛り土は、軟弱な地盤をさらに軟弱にするもので、計画では、その深さが30メートルに及ぶところもあり、雨で土砂が流されたり、地盤沈下したり、地震があれば、ソーラーの基礎から崩れることも懸念される。そして、土砂が調整池に流れ込めば、その先の打手川流域に大きな被害が出る」と指摘し、「この計画を知らない住民が多いので、早く知らせて開発の危険性を伝え、反対の声をもっと大きくしていきたい」と話しています。

打手川(高架は国道26号・和歌山市平井)

一方、開発予定地を所有している奥楠見(おくくすみ)花木(かぼく)生産組合は、1974年に設立された農事組合法人で、1979年頃に一部の山林を造成しました。そして、今月上旬に開いた臨時の総会で、組合の総意として、太陽光発電事業に賛成し、すべての土地を売却することを決めました。

組合の代表代行を務める杉本匡(すぎもと・ただし)さん53歳は、「開発予定地には、すでに人の手が入っている。組合員31人のうち、過半数が70歳以上と高齢化していて、現状でも、山の管理がおろそかになっている。2代目、3代目に譲ることも難しく、このままでは、誰も管理しない山として放置することになる。そうなれば、災害が起きる可能性もあり、太陽光発電事業をしながら山を管理してくれる今回の計画に賛同した」と説明しています。

太陽光発電施設の建設にあたっては、和歌山県が、50キロワット以上の設備を対象に条例を制定しているほか、和歌山市が、25ヘクタール以上を対象にしていて、今回の計画は、双方の条例に基づき、手続きが進められています。

和歌山県の条例では、今後、7月3日まで計画に対する意見書の受け付けが行われ、県がまとめた上で、事業者に対し、意見書への回答を求め、その内容を審査して、最終的に認定するかどうかを判断します。

一方、和歌山市の条例では、直接、事業者に意見書を送ることになっていて、事業者が住民と協議した上で、和歌山市に報告し、地元同意を含めて、市が許可するかどうかを判断します。

※記事の内容は「wbsニュース5」(2019年6月19日17:50~リポート)でご紹介しました。

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